知らぬ間に子どもの心を癒す本棚になっていた
投稿日:2021年9月7日 | 最終更新日:2021年9月16日
「中学になっても絵本読んでたよ」
20才を過ぎた我が子と話していてこんな言葉が出てきて驚きました。
まさか、中学生になっても絵本を読んでいたとは。
「絵本は考えなくていいから」
絵本は、スッと入ってくるんだそうです。
本は文字を追って読み込んで頭を使うけれど、絵本は重く考えることなく、眺めているだけでほっとしたと言います。
小さい頃に読んだ本を出して、眺めて、ひとりの時間を過ごす。
精神的に疲れた時はそうして過ごすことがあったようです。
特に中学生の時は、学校でいろいろな事件に巻き込まれ、辛い時期でした。
その当時、親は何も知らず、後になってものすごくひどい状態だったことを知ったのでした。
親にも言えない辛い気持ちを抱えた時に、偶然にも絵本の本棚が救いになっていたようでした。
「本棚の場所がすごく好きだった」
絵本はベッドの脇の小さなカラーボックスに置いてあるだけでした。学校の教科書は置き場所がなくてほとんど処分しましたが、どうしても絵本は処分する気にならず、さてどこに置いておこうか、と考えた時、空いていたのがこの場所だった、ただそれだけです。
そんな偶然できた空間が好きだったと言うので、何がどう転がるか分からないもの、と不思議に思います。
我が子は中学生くらいまで、そこに挟まって絵本を開くのが好きだったそうです。
狭い場所、ということに安心感を見出しているところは、犬が巣穴のような狭くて暗い場所を好むのと同じだなと思いました。
子どもは原始的な部分、動物に近い部分を持っているので、そんな風に感じることがあるのでしょう。

ぬいぐるみの場所で挟まって(座って)読んでいたらしい
そしてもうひとつのポイントは、本棚に戸がついていなかったこと。
我が家には本棚が2棹あります。どちらも戸がついています。
ところが、絵本の棚はカラーボックスなのでむき出しです。挟まって手を伸ばせば本を取れる、その気軽さがとても良かったようです。
挟まって手を伸ばせばすぐに本が取れるのがいいんだよね。
狭いところが落ち着くんだよ。ちょうどあのくらいがいいの。
戸を開けるのは、ひと手間あるからめんどくさいなって。
そもそも戸がある本棚は、私が開けちゃいけないと思ってたしね。
いやいや、戸がある本棚も開けてよかったんだけど、私の説明不足だったのでしょう。
子どもの本も大人の本もいろんな本を入れておいて、好きな時に読んでくれるといいな、という希望を持っていました。
私は子どもの頃、親がいない時に家中の本棚から適当に本を出して読むのが好きだったので、同じになるはず、と思っていたのですが、言わなくちゃ伝わらなかったんですね。
でも、「本棚に戸がない」ということが、子どもの本へのハードルが下がるとは驚きでした。

何度も絵本を取り出しては読んでいたらしい

「ひでちゃん、あそばっちょ」のセリフが大好き 長野県が舞台の「ラッキー」
「雨の日文庫」も読めって言われたから読んだよ
本を読む子に育ってほしいと思って、強制的に読ませようとした実家から引き取ってきた「雨の日文庫」。
読んでいないとばかり思っていたのですが、この場所で読んでいたと言います。
なぜこんな話が出てきたのか?
ぐるぐる回って虎がバターになる話あるじゃない?
あれね。友達と違うってことを知ったんだよ。
私たちの世代では「ちびくろサンボ」の話です。人種差別が問題となり、一時出版されませんでした。
我が子が読んだのは、ストーリーはほぼ同じ「おしゃれなサムとバターになったトラ」でした。友達は多分、「ちびくろサンボ」を読んだのだと思います。
だから、ストーリーが微妙に違っていた、となったのではないでしょうか。
この話を聞いて妙に盛り上がり、実は子どもの頃・・・という暴露大会になりました。
当時は全然気付かなかったし、本人も、癒されているとか、この場所が好きとか、言葉にすることはまだできなかったと思います。
それが、時が経って、話せるようになった。
私が知らないたくさんのエピソードが出てきました。そんなこと考えてたの!?と驚くようなことばかりです。
でも、この話を聞いて、2021年の今、「子どもである」子達も言葉にできない気持ちがあるんだろうな、と想像します。
その気持ちを少しでも察してあげられるようになりたい。
その時に気付いた方が、傷は浅いし、日々を安心して過ごせると思うから。
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