作文はシンプルに自分の考えを表す
「書くことがない」と言われたら?
子ども達に課題を出すと「書くことがないよ~」と言われることがよくあります。
先日も、言われました。その時の会話です。
子: 先生、書くことがないよ~
私: じゃあ「書くことがないよ」と書いてね
子: え、いいの?
私: いいよ。「え、いいの?」って聞いたことも続けて書いてね。
子: うそ!書いていいの!?
私: もちろん!今言ったこと全部書いてね。
この子が書いた作文は
書くことがないよ~と言ったら、先生が「書くことがないよ」と書いてと言った。ぼくは「え、いいの?」と聞いた。うそ!と思った。でも、書いていたら半分まできちゃった。びっくりした。
「半分」というのは作文用紙のことです。
書き始めは全く書けないと思っていたのが、しゃべったことをそのまま書いているうちに書けてしまいました。
書きながらゲラゲラ笑っていました。こんな作文書いたことない、とも言っていました。
心に浮かんだことを全部書く
作文は自分の考えや思いを文字にする行為です。
簡単なようで苦手な人がとても多いのが現実です。
でも、話すように、自分に言い聞かせるように文字にするのが作文の最初です。
私がお伝えしている作文は、起承転結でも書き始めのテクニックでもなく、考えや思いを文字にすることです。
もちろん、書けるようになってきたら、起承転結や「はじめ・なか・おわり」など、まとまりをつけた作文に仕上げます。
ですが、これはあくまでテクニックです。
「書けない」という気持ちを書いたように、今の自分の考えを自覚して文字にすることがまず第一歩です。
作文のテクニックは自分の考えありき
小論文や「作文の書き方」などの書籍やネット情報では、いろいろなテクニックが紹介されています。
- こんな風に書くとうまく書けるよ
とか
- こういう順番で書いてね
とか
- 書き出しの言葉やつなぎ言葉はこれを使うといいよ
など
使える技がたくさんあります。
でもこれらの情報をよく見ると、「自分の考えを」という言葉が最初に小さく書かれています。
すでに自分の考えはちゃんとあって、表現できるという前提で使えるテクニックなのです。
自分の考えを自覚するのは簡単なようで難しい
書くことに慣れている人は、自分の考えをどんどん文字にしていきます。こうした人は、上記のような作文のテクニックをうまく使えます。
ところが、子ども達を見ていると、自分の考えがなかなか出てこない子が多くいます。
考えが出ない原因は
- 「考え」の概念が分からない
- 考えを出したことで嫌な目に遭ったことがある
- こんなことを言ったらいけないんじゃないかと思っている
「考えがない」わけではなくて、出し方が分からないだけです。
どうするか?
- 「考え」の概念が何か分からない
→ 話してみて、「それがあなたの考えだよ」と指摘する。例えば「何を書けばいいか分からない」は考え。 - 考えを出したことで嫌な目に遭ったことがある
→ 可能なら、どんな嫌な目に遭ったか聞く。その上で、ここでは大丈夫と伝える。 - こんなことを言ったらいけないんじゃないかと思っている
→ 話してみて、「こんなこと言っちゃいけないと思っているでしょ?」と聞いてみる。
まずは気持ちだけを書いてみましょう
「作文」と聞くだけで身構えてしまいがちですが、いろいろなしがらみを考えず、とにかく今思っていること、気持ち、考えなど浮かんできた言葉を書いてみましょう。
それが作文のはじめの一歩です。
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