この言葉で書きだせば説明文も日記も読んでも書いても面白くなる
吾輩は猫である
夏目漱石の「吾輩は猫である」の書き出しは
吾輩は猫である。名前はまだ無い。
どこで生れたかとんと見当がつかぬ。なんでも薄暗いじめじめしたところでニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。吾輩はここで始めて人間というものを見た。しかもあとで聞くとそれは書生という人間中で一番獰悪な種族であったそうだ。この書生というものは時々我々を捕まえて煮て食うという話である・・・(略)
夏目漱石 「吾輩は猫である」より
自分は「猫」だ。という視点で人間世界を見聞きし、経験したことが書かれています。
これをヒントにし、自分が何かになったつもりで書いてみたら面白い作文がたくさん書けました。
「わがはいは」何になるか決める
まず、わがはいは何になるかを考えます。目の前にあるものでも、好きなものでも、なりたいものでも何でもよし、です。
- 黒板
- えんぴつ
- シール
- 上履き
- ネコ
- 犬のクーちゃん(飼っている犬)
- シャンデリア
などが子ども達からあがりました。
えんぴつなら
わがはいはえんぴつである。長さは人間の子どもの手の長さと同じくらい。色は緑色。おしりのところが色がはげてボロボロになっている。なぜなら、わがはいの使用人がガリガリとかじるくせがあるからだ。どんどんボロボロになっていく。芯が減るのが早いか、おしりをかじられるのが早いか、気が気ではない。
(岩下創作)
自分が持っているえんぴつの気持ちになってみて気付いたことを書いてみます。
飼っているペットなら
わたしはクーちゃんと呼ばれているわ。犬。トイプードルよ。飼い主のA子ちゃんはわたしのことをなでてくれるわ。いっしょに散歩も行くからとても楽しい。でも寂しいときもあるの。お留守番よ。誰もいなくなるのは本当に辛いからどうしていいか分からなくなっちゃう。だから、スリッパをかじったりものを倒したりしちゃう。留守番はさせないでほしいわ。
(岩下創作)
「わがはいは」ではなくて「わたしは」とか「ぼくは」とかでも使えることに気付いてくると、その後の文章の雰囲気も変わります。
「シャンデリア」で書いた子は豪華な雰囲気に合わせて「わたくしは」と使っていました。
説明文や日記にも
えんぴつを選んだなら、長さ、色、模様、使い勝手など詳しく書いていくことができます。お気に入りであれば、いかに自分(えんぴつ)がすごいか、書きやすいかを加えられます。
これが、「説明」です。
日記として書くなら、給食のおかずとか、先生とか、今日をふりかえって一番に思い出すことを選びます。もし、「体育がいやだった」ということを書きたいと思ったなら、「わがはいは体育である」は書きにくいので、「わがはいはB助である。体育が苦手である。今日は最悪な日であった・・・」
と、わがはい=自分の名前(ニックネーム)でも面白いでしょう。
親もぜひご一緒に!
大人目線で書くと、面白いですよ。子どもが書く横で一緒に書いてみましょう。
岩下も書いてみました。みんながネコで書いていたので、同じようにネコと決めたら、ある事件のことが思い浮かびました。