子どもの問題行動は「優しさ」が原因ということもある
集中しない、道路に飛び出る
私は作文の講座と共にピアノのレッスンもしています。ピアノは作文と違い、毎週レッスンがあり、数年にわたって生徒さんとお付き合いが続きます。
ですから、長い期間を掛けて、一週間に一度会うことで「いつもと違う」状態にはピンときます。
この日の生徒さんは、いつもより集中力がなく、教室をうろうろしていました。そして、帰りがけふらふらと道路に飛び出してしまいました。
幸い、車の通りがあまりない時間帯で、狭い道だったので事故には至りませんでした。
すぐにつかまえ、「あなたが今、事故に遭ったら死んじゃうんだよ!死んじゃったらママはどう思うの?」
と叫んでしまいました。
原因はママの病気
数日前、ママから連絡があり、ママが体調不良で病院で点滴を受けたとのこと。
入院を勧められたけれど、子ども達が小さいから通院で治療することにしたようでした。入院を勧められるほど具合が悪い状態を子どもは近くで見ていたようです。
でも、その子は何も言わなかったそうです。
「ママが具合悪くて辛かったんだよね」
道に飛び出したとき、捕まえた拍子に危険だったことを激しく言い聞かせたのですが、続けて
「ママが具合悪くて辛かったんだよね」
という言葉が出てしまいました。
すると今まで黙って私に捕まえらえられていたのが
「うん」
力が抜けるのが分かりました。
「よく頑張ったね」
「うん(ヒクヒクと涙が出てきた)」
「ママが辛いのを見るのがいやだったね」
「うん(わ~んと泣き出す)」
ママが具合悪いことがとても辛かったんだ、ということを初めて自覚したようでした。
一瞬、ハッとした表情になりました。
「よく頑張ったね」と声を掛けると、まさに堰を切ったように涙があふれてきました。
子どもは自分の気持ちを自覚できないと行動に表れる
レッスンに来て、集中しなかったり、道路にふらふら飛び出してしまった原因は、ママの体調を心配する優しさでした。
この子の様子を見ていると、なぜ自分が集中できないのかは、考えていなかったようです。なんだか分からないけど、集中できなくて、ふらふらしちゃう、そんな感じでした。
ところが、私の「ママのことが心配だったんだね」という言葉で、自分の中にある不安がパッと分かって、辛かった思いが表に出てきました。
そして辛かった思いが自分で分かって、泣いて、「ママのこと心配だったんだよ」と話せれば、落ち着きます。
子どもが思いを出せる場所でありたい
我が子を育てているときも、生徒さんと接するときも、この子はどんなことを感じているか、いつもアンテナを張っています。
自分がもやもやを抱えた子ども時代を過ごしたせいか、子ども達がおかしな行動をするとき
「本当は○○でしょ」と言うと
「どうして分かったの?」と言われたり
図星だ・・・という表情をすることがよくあります。
問題行動は、問題であるけれど、その原因は、優しさからくる心配だったり、不安だったり、ということが多くあります。
または、大人から見れば、「え?そんな小さなこと?」と笑っちゃうようなことを真剣に悩んでいるときもあります。
でも、子どもにとっては大問題ですし、大人はちゃんと分かって受け止めてあげないといけません。
問題行動は案外、子どもの優しさが原因、ということもあるかもしれませんよ。
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